①共感:その朝の「言葉」に、親はどう向き合えばいいのか
朝、子どもがランドセルを前にして動かない。
「お腹が痛い」「頭が痛い」「なんか行きたくない気分…」
初めてその言葉を聞いたとき、多くの親は焦りと不安と怒りが一気にこみあげてきます。
「学校に行くのは当たり前でしょ」「みんな行ってるよ」「いい加減にして!」
そう言いたくなる気持ちは、よくわかります。私も元教員として、そして一人の親として、その感情は自然なものだと思っています。
でも、その朝の一言で、子どもとの関係が大きく変わることもある。
この記事では、元教員として1000人以上の子どもたちと関わった経験をもとに、「学校に行きたくない」という言葉の裏に何があるのか、そして親としてどう動けばいいのかを、具体的にお伝えします。
③問題の本質:「サボり」ではなく「SOS」という視点
多くの人が誤解しているのが、「学校に行きたくない=サボり・甘え」という図式です。
でも実際は違います。
子どもが「学校に行きたくない」と口に出す時点で、すでにかなり限界に近い状態であることがほとんどです。子どもは基本的に、親に心配をかけたくない生き物です。それでも言葉にしてしまったということは、「もう自分では抱えきれない」というSOSのサインでもあります。
問題の本質は「学校に行かないこと」ではなく、「子どもが何かに追い詰められていること」です。
ここを間違えると、原因を解決しないまま「行かせること」だけに注力してしまい、子どものメンタルは更に削られていきます。
④原因:不登校につながる3つの根本原因
原因① 「安心できる場所」が学校にも家にもない
学校でのストレス(友人関係、授業のプレッシャー、先生との相性)が蓄積されているとき、子どもが帰宅してホッとできる環境があれば、多くの場合は回復します。
でも、家に帰ってきても「今日どうだった?」「宿題は?」「明日ちゃんと行くの?」という問いかけが続くと、子どもには逃げ場がなくなります。
学校でも家でも「評価される・問われる」状態が続くと、子どもの心は静かに折れていきます。
原因② 「うまく言葉にできない」ストレスの蓄積
大人でも、自分の感情をうまく言語化するのは難しいですよね。子どもはなおさらです。
「なんか嫌だ」「モヤモヤする」「うまくいかない」という感覚はあっても、それを「○○が原因でこういう気持ちになっています」と整理することができません。
親が「何があったの?ちゃんと話して」と迫ると、子どもは自分を責め、さらに追い詰められます。言語化できないことを責めるのではなく、言語化しなくていいという安心感を先に与えることが重要です。
原因③ 「休む=悪いこと」という強烈な刷り込み
日本社会には「休むことは恥ずかしい・弱い・ズルい」という価値観が根強く残っています。
この価値観を子どもが内面化していると、「休みたいけど休んだら自分はダメだ」という葛藤が生まれます。その葛藤が、身体症状(頭痛・腹痛・吐き気)として現れることが多いのです。
不登校の子のなかには、サボりたいわけではなく、「行けない自分」を最も責めているのが子ども自身、というケースが非常に多いです。
⑤解決方法:今すぐ変えたい「親の関わり方」
まず「聴く」だけでいい
子どもが「学校に行きたくない」と言ったら、まず解決しようとしないことが大切です。
「なんで?」「どうすればいい?」ではなく、「そっか、行きたくないんだね」とだけ言う。それだけでいいんです。
子どもは「わかってもらえた」と感じることで、初めて本音を話し始めます。
「休む許可」を出す
「今日は休んでいいよ」という言葉は、子どもにとって驚くほど大きな安心感を生みます。
休ませることへの罪悪感は親にもあるでしょう。でも、無理に行かせた1日より、安心して休んだ1日の方が、子どもの回復は早いというのが、現場で見てきた実感です。
学校・スクールカウンセラーと連携する
担任の先生やスクールカウンセラーへの相談を早めに行いましょう。「大げさかな」と思う必要はありません。連絡を入れておくことで、学校側も配慮してくれるようになります。
⑥具体アクション:今日からできる3つのこと
アクション① 「今日は何があったか」より「今どんな気持ち?」と聞く
学校での出来事を根掘り葉掘り聞くのではなく、子どもの「今の感情」に寄り添う問いかけに変えてみてください。
NGワード例:
– 「何があったの?ちゃんと話して」
– 「みんな行ってるのになんで行けないの?」
– 「このままでは困るでしょ」
OKワード例:
– 「そっか、しんどいんだね」
– 「お母さん(お父さん)はそばにいるよ」
– 「今日は何もしなくていいよ、ゆっくりしよう」
アクション② 「学校に行く・行かない」以外の話題を増やす
不登校気味になると、家の会話が「学校どうする問題」一色になりがちです。
でも子どもにとって「学校の話をするたびに空気が重くなる」という体験は、さらに話しづらさを生みます。
好きな食べ物の話、ゲームの話、動画の話、どんな些細なことでもいいので「普通の会話」を意識的に増やすことが、関係性の回復につながります。
アクション③ 専門家への相談ハードルを下げる
「スクールカウンセラーに相談する=大ごとにする」ではありません。
文部科学省が設置している「子どもの相談窓口(0120-0-78310)」や、各自治体の教育相談センターは無料で利用できます。一人で抱え込まず、専門家の言葉を借りることで、親自身も楽になれます。
親が楽になることが、子どもが楽になる一番の近道でもあります。
⑦まとめ+導線:焦らなくていい、でも一人で抱えないで
「学校に行きたくない」という言葉は、子どもからの大切なメッセージです。
その言葉を「サボり」「甘え」として処理してしまうのか、「SOSのサイン」として受け取るのかで、その後の親子関係は大きく変わります。
今日から変えられることは、難しいことではありません。
ひとつだけ覚えておいてください。
「行けない今」が、「その子の一生」を決めるわけではない。
日本の不登校経験者の多くは、その後自分なりの道を歩んでいます。大切なのは、学校に行くかどうかではなく、「この子が自分を信じられるかどうか」です。
親が焦らず、ドンと構えていられることが、子どもにとっての一番の安全基地になります。
もう少し深く知りたい方へ
この記事を書きながら、改めて手に取った本たちを紹介します。現場でも、保護者の方にもよくすすめてきた本です。読むと「そうか、そういうことだったのか」と、子どもへの見方がきっと変わります。
不登校対応の入門書として
著者の森田直樹さんは、自身のお子さんの不登校経験から研究を重ねた方。「毎日3分の声かけ」という具体的な実践法が、多くの親御さんの希望になっています。楽天で63件以上のレビューがつくほど支持された一冊です。
子どもの「自信」を育てたい方に
「不登校=マイナス」という見方を根本から覆してくれる本。著者の福田遼さんは、不登校を「自分を再構築する時間」と捉え直す視点を提示しています。Amazonでも★ 5.0という評価で、読んだ方の多くが「もっと早く読みたかった」と感じる内容です。
まず親自身が楽になりたい方に
タイトル通り、読後に「あ、大丈夫かも」と思える本です。難しい理論ではなく、親御さんの不安そのものに寄り添う内容で、一人で抱え込んでいる方にとって、心の支えになります。
この記事を書いた人:トラせん(元小学校教員・旅ブロガー)
教育現場で1000人以上の子どもたちと関わった経験をもとに、子育て・教育・キャリアについて発信しています。


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