「ちゃんと褒めているつもりなのに、どうしてうちの子は自信が持てないんだろう…」
保護者の方から、こんな相談を何度受けたかわかりません。褒めること自体は意識している。でも何かが届いていない気がする。その「何か」を一緒に探りたくて、この記事を書きました。教員として長年子どもたちと関わってきた中で気づいた、言葉一つで変わる子どもの内側について、できるだけ等身大でお伝えします。
📋 目次
- 褒めているのに伝わらない——その「ズレ」の正体
- 現場で見てきた「褒め方」の分かれ道
- ある保護者との会話が教えてくれたこと
- 自己肯定感が育つ言葉かけ、5つのヒント
- まとめ——あなたの言葉は、ちゃんと届いている
🔍 褒めているのに伝わらない——その「ズレ」の正体
まず正直に言わせてください。「褒めること」と「自己肯定感が育つこと」は、イコールではありません。
これは決して「あなたの褒め方が間違っている」という話ではなく、むしろほとんどの大人が気づいていない、言葉の構造の話です。
子どもの自己肯定感を育てるうえで重要なのは、「結果」を褒めるか、「プロセス」を褒めるか、という視点です。
「すごいね!」「天才じゃん!」——これらの言葉は、子どもを一瞬喜ばせます。でも同時に、「また失敗したらどうしよう」という不安の種も、一緒に蒔いてしまうことがあります。
結果だけを褒め続けると、子どもは「結果が出ないと褒めてもらえない」と無意識に学習します。失敗を恐れ、挑戦を避けるようになる。それが積み重なって、自信のなさとして現れてくるのです。
これは責任の話ではなく、構造の話です。知らなければ誰でもそうなります。私自身も、教員になりたての頃はまったく同じでした。
👀 現場で見てきた「褒め方」の分かれ道
長く教壇に立っていると、同じような能力を持つ子どもたちが、言葉一つで全く違う方向に育っていくのを目の当たりにします。
たとえばテストで高得点を取ったとき。
- 「頭いいね!やっぱりあなたは違う」と言われた子は、次のテストで点が下がるのを極端に恐れるようになりました。
- 「毎日コツコツやってたもんね。その積み重ねが出たね」と言われた子は、次のテストでも落ち着いて取り組んでいました。
前者は「才能への評価」、後者は「努力への評価」です。この違いが、数年後の姿に驚くほど大きな差をつけることがあります。
スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエック博士の研究でも、「努力を褒められた子どもは困難に直面しても諦めにくく、長期的に成績が伸びやすい」という結果が出ています。現場の肌感覚と、データが一致していたことには、当時本当に驚きました。
トラせんがおすすめする本
実際に読んで「これは紹介したい」と思ったもの・口コミ評価が特に高いものを選んでいます
📚 教員のメンタルヘルス(大石智)
トラせん愛読書
教員のバーンアウト予防・働き方改善について書かれた専門書。「自分だけがしんどいのでは」という孤独感が和らぎます。現役・元教員に特におすすめ。
📚 子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば(石田勝紀)
口コミ高評価
教員として毎日関わる子どもたちへの声かけに直結する本。「先生の言葉が子どもの自己肯定感を作る」という事実を改めて感じさせてくれます。
💬 ある保護者との会話が教えてくれたこと
忘れられない保護者との会話があります。
三者面談でのことでした。その子は学習面では決して突出しているわけではないけれど、クラスの中でとても穏やかで、困っている友だちにすっと手を差し伸べられる子でした。
お母さんが、少し申し訳なさそうにこう言ったんです。「うちの子、全然自信がなくて。先生、どうやって褒めてあげたらいいんでしょうか」と。
私は正直に答えました。「お母さん、○○さんって、今日も△△くんが困っているときに、さっと声をかけていましたよ。あの場面、見ていましたか?」
お母さんは「え、そんなことを…」と少し驚いた顔をされました。
そこで私はこう続けました。「テストの点や習い事の上達だけが「できた」じゃないんです。あの気づきの早さ、あの優しさ——それをそのまま言葉にして伝えてみてください。『あなたはそういう子なんだね』って。」
学期末、その子は少しだけ顔つきが変わっていました。自信がついた、というより、「自分の存在を認めてもらえた」という安心感が滲み出ているような表情でした。
褒めるというのは、何かを「評価する」ことだけじゃない。「見ている」と伝えることでもあると、あの日気づかせてもらいました。
✅ 自己肯定感が育つ言葉かけ、5つのヒント
「じゃあ具体的にどう言えばいいの?」という疑問に、できる限り実践的にお答えします。これは「こうすべき」ではなく、現場で実際に効果を感じてきたこととして受け取っていただければ。
① 結果ではなく「プロセス」に言葉を向ける
- 「すごい、100点!」→「毎日練習してたもんね、その頑張りが出たね」
- 「天才だね」→「諦めなかったね、それが一番大事だと思う」
結果は変わらなくていい。取り組んだ過程を見てもらえたと感じると、子どもは次も挑戦しやすくなります。
② 「見ていたよ」を言葉にする
- 「さっき、○○ちゃんに声かけてたね。気づいてあげられてよかったね」
- 「昨日より丁寧に書けてるじゃない。気づいてたよ」
子どもは「見られている」と感じると、存在を肯定された気持ちになります。大きな出来事でなくていい。小さなことを具体的に。
③ 比較をなくす(他者とも、過去の自分とも)
- 「○○ちゃんみたいにできてすごい」→これは避ける
- 「先週よりずっとスムーズになったね」→本人の成長に焦点を当てる
比較は一時的なモチベーションになっても、長期的には自己肯定感を削ります。基準はあくまで「その子自身の昨日」に。
④ 失敗したときこそ「言葉の貯金」を使うとき
- 「なんでできないの?」→これが積み重なると、挑戦を恐れるようになります
- 「うまくいかなかったね。何が難しかった?」→気持ちを受け止め、一緒に考える姿勢を見せる
失敗したときの言葉が、実は自己肯定感に一番影響します。「失敗しても見捨てられない」という安心感が、次の挑戦を生みます。
⑤ 「あなたらしいね」という言葉の力
- 「それ、あなたらしい発想だね」
- 「そういうところ、あなたの好きなところだよ」
「あなたらしい」という言葉は、その子の個性そのものを肯定します。これが積み重なると、「自分は自分でいい」という感覚の土台になります。全員に当てはまるわけではないけれど、現場でこの言葉が刺さる子は多かったです。
「褒める」のゴールは、子どもに「自分はできる」と思わせることではなく、「自分はここにいていい」と感じさせることかもしれません。
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🌈 まとめ——あなたの言葉は、ちゃんと届いている
読んでいただいてありがとうございます。最後に、一番伝えたいことを書かせてください。
子どもの自己肯定感のために言葉を選ぼうとしている時点で、あなたはもう十分に子どものことを大切にしています。正直なところ、「どう褒めたらいいか」を悩んでいる親御さんや先生方に出会ったとき、私はいつも「この子は大丈夫だ」と思ってきました。
完璧な言葉より、「見ていてくれる人がいる」という事実の方が、子どもの心には残ります。
うまくいかない日もあります。つい「なんでできないの」と言ってしまう日も。それでいいんです。翌朝また「おはよう」と声をかけられれば、それが一番の修復です。
一緒に、ゆっくり考えていきましょう。
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