子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、親が最初にすべきこと。元教員が伝えたい3つの心得

①共感:「その一言」を聞いた朝のこと

朝、ランドセルを前にして動かない我が子。「お腹が痛い」「行きたくない」と小さな声で言われた瞬間、頭が真っ白になった。このまま休ませていいのか、無理にでも連れて行くべきなのか。仕事の時間は迫っているのに、答えが出ない。

そして夜になると、「私の育て方が悪かったのかな」「この先、勉強や進路はどうなるんだろう」と、不安がぐるぐる回って眠れなくなる。誰にも言えず、スマホで「不登校 原因」と検索している自分に気づいて、さらに落ち込んでしまう。

私は小学校の教員として、そんな朝を迎えた保護者の方と何度も向き合ってきました。みなさん共通して、子どもを思うからこそ、一人で自分を責めていました。まず最初にお伝えしたいのは、あなたのせいではない、ということです。この記事では、元教員の目線で、最初の数日〜数週間にできることを整理します。

③問題の本質:本当の課題は「登校させること」ではない

「学校に行きたくない」と言われたとき、多くの親御さんは「どうすれば行かせられるか」を考えます。けれど、教室で見てきた経験から言えば、ここに最初のつまずきがあります。

子どもの「行きたくない」は、わがままや怠けではなく、心とからだが出している「もう限界に近い」というSOSであることがほとんどです。つまり、いま本当に必要なのは登校の再開ではなく、子どもが安心してエネルギーを回復できる土台をつくることです。

登校はその結果としてついてくるもの。ゴールを「登校」に置くか、「安心して過ごせる状態」に置くかで、親の声かけも表情も大きく変わります。そしてその違いは、子どもに驚くほど正確に伝わります。

④原因:親が「いつの間にか」やってしまう3つのこと

原因1:理由を問い詰めてしまう

「何があったの?」「誰かに何か言われたの?」と矢継ぎ早に聞いてしまうのは、心配の裏返しです。ただ、子ども自身も自分の気持ちを言葉にできていないことが多く、問い詰められると「責められている」と感じて、さらに口を閉ざしてしまいます。原因探しが、かえって安心を遠ざけてしまうのです。

原因2:「休み=悪いこと」という空気をつくってしまう

「今日だけ頑張ろう」「明日は行けるよね?」という声かけが続くと、子どもは休むたびに罪悪感を抱きます。罪悪感を抱えたままの休みは、心が休まりません。家にいても緊張が続くため、回復にも時間がかかってしまいます。

原因3:親自身が不安を抱え込み、孤立してしまう

親の不安は、態度や表情を通じて子どもに伝わります。そして不安な親ほど、周囲に相談できず一人で抱え込みがちです。親が孤立すると視野が狭くなり、「早く何とかしなきゃ」と焦って、①②のような対応につながる悪循環が生まれます。

⑤解決方法:まず「安心」、次に「見通し」、最後に「選択肢」

大切なのは順番です。最初にやるのは、家庭を「何があっても大丈夫な場所」にすること。次に、少しずつ生活リズムや日々の見通しを一緒に整えます。登校や別の学びの場といった選択肢を考えるのは、その後で十分間に合います。

具体的には、「行く・行かない」の議論をいったん手放し、「今日はどんな気分?」「ゆっくりしたい日?」と気持ちに寄り添う会話に切り替えます。同時に、担任の先生やスクールカウンセラー、教育支援センター(適応指導教室)など、学校内外の味方を増やしておきましょう。相談先が複数あるだけで、親の心の余裕はまったく違ってきます。

学校に行かない期間は、決して「空白」ではありません。好きなことに没頭したり、家族と過ごしたりする時間が、子どもの根っこの安心感を育てます。それは、のちに再び一歩を踏み出すときの大きな力になります。

⑥具体アクション:今日からできる3つのこと

アクション1:「理由探し」をやめて、気持ちを一言で受け止める

「そっか、行きたくないんだね」「話してくれてありがとう」。この一言だけで十分です。理由は聞き出さず、話したくなったときに話せる空気をつくりましょう。

アクション2:担任・スクールカウンセラーに「相談」だけしておく

登校の可否を決める場ではなく、情報共有と味方づくりの場として連絡します。「今は様子を見ながら家庭で休ませたい」と伝えるだけでも構いません。学校側の窓口を一つ決めておくと、その後のやり取りがぐっと楽になります。

アクション3:親自身の「休む時間」を意識的にとる

15分でも、好きな飲み物を飲んで何も考えない時間をつくってください。親の心に余裕が戻ると、子どもへの声かけも自然とやわらかくなります。信頼できる人や、同じ経験をした親の本・体験談に触れることも、孤立を防ぐ大きな助けになります。

⑦まとめ

子どもの「学校に行きたくない」は、わがままではなく、心とからだからのSOSです。大切なのは登校させることではなく、まず家庭を安心できる場所にすること。理由を問い詰める、休むことに罪悪感を持たせる、親が一人で抱え込む、という3つに気づくだけで、日々の空気は変わっていきます。

今日できることは小さくて構いません。気持ちを受け止める一言、先生への相談、そして自分自身の休息。この3つから始めてみてください。あなたは、すでに十分に頑張っています。同じ悩みを持つ方の経験に触れることで、「うちだけじゃない」と思えることも、心の支えになるはずです。下に、私が親御さんにおすすめしてきた本を紹介します。


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この記事を書いた人:トラせん(元小学校教員・旅ブロガー)
教育現場で1000人以上の子どもたちと関わった経験をもとに、子育て・教育・キャリアについて発信しています。

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